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環境試験室とは?

研究開発や基礎研究などの段階では、様々な環境条件のもとで試験や実験、計測が行われます。温度や湿度を自在に設定でき、任意の環境条件を設定できる環境試験室について解説します。

環境試験室とは

環境試験室とは、温度や湿度などの環境条件を任意に調整できる設備です。高温・低温、多湿・低湿など様々な環境を再現でき、大学や研究機関、試験期間、企業の研究開発部門などで活用されています。

例えば、温度に影響されやすい素材の耐久性を試験する際には、高温環境から氷点下も含む超低温環境まで再現できる環境試験室が用いられます。こういった試験は、過酷な環境下でも耐久性が維持されるか、どのような環境条件まで性能を保証できるのかなど、研究開発や量産体制の設計のために重要です。そのため、環境試験室には多様な環境を再現できる再現性と、あらゆる厳しい環境条件でも連続して運転できる耐久性および信頼性が求められます。試験規格は、JISやISOなどで定められています。

一方、温度と湿度などを標準の環境条件に保つ設備を、恒温恒湿室といいます。研究開発や、素材の試験・計測や製品の検査、環境変化に弱い素材の保管などに用いられます。環境試験室も恒温恒湿室も、製造や研究開発における生産性の向上や安定した品質の維持には欠かせない設備です。

参考:恒温恒湿室とは?

環境試験室の試験対象

環境試験室で試験される製品の一例をご紹介します。

01 産業用機械・装置

  • 自動車関連製品
  • 大型の重機・建機
  • 農作業機器
  • 航空機関連製品
  • 船舶関連製品

これらの製品では、高温・低温環境下における性能や耐久性、エンジン性能などの試験が行われます。例えば、温度変化に敏感なゴムを素材とするタイヤは、乗り心地やブレーキなどの安全性にも直結するため、様々な条件下での厳しい環境試験が欠かせません。世界中の様々な国で使われることを想定し、極寒地や砂漠地帯などを想定した試験が行われることもあります。

02 家庭用電化製品

  • 家電 (テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)
  • 電機製品

日本だけを見ても、四季を通じて氷点下から40度近くまで気温の条件は大きく変化します。高温・低温環境下における性能や耐久性、消費電力量の試験などが行われます。電気製品に用いられるモーターは振動や摩擦に対する耐久性も重要となるため、あえて劣化を促進するような環境条件で繰り返し使用する加速劣化試験が行われます。

03 建材・塗料・紙製品

  • 建築用資材(コンクリート、モルタル、外壁や屋根など)
  • 塗料
  • 紙製品

温度や湿度によって状態が変化しやすい素材は、環境試験室での試験や測定が欠かせません。特に、外壁や屋根などに用いられる建材は、温度・湿度のほかに紫外線や雨・雪の影響も受けやすいため、様々な条件下での環境試験が行われます。

ここでご紹介した製品以外にも、業界や製品によってはあらゆる環境条件を再現した環境試験が行われています。さらに、環境試験室の設備は品質保障のための試験や測定以外に、熱処理室(エージングルーム)や植物培養室として活用されることもあります。

環境試験室で再現できる環境条件の種類

環境試験室を設置する際は、自社の製品の製造や試験・検査・計測などに必要な環境条件に合わせて機能を検討してください。高温かつ多湿な環境など、複数の環境条件を組み合わせることもできます。一般的に、環境試験室で再現できる環境条件には以下のような種類があります。

温度試験

高温から低温まで調整することで、地球上のあらゆる気温条件を再現します。例えば、国内向けの製品の場合は最低気温-20℃から最高気温60度までを想定して試験が行われています。また、温度を高温または低温に一定に保つだけでなく、高温と低温を繰り返し変化させて行う温度サイクル試験や、急激な温度変化を与える熱衝撃試験などもあります。

湿度試験

湿度を調整し、多湿または低湿な環境を再現します。温度条件の調整と組み合わせて、高温多湿な環境を再現することもできます。湿度条件についても、高湿と低湿を繰り返し変化させる湿度サイクル試験があります。

耐候性試験

屋外の様々な気候条件を再現して行う試験を耐候性試験といいます。自動車の外装、壁や屋根などの建材、衣類や靴などの繊維製品、樹脂やプラスチックなど、太陽光に含まれる紫外線を長時間浴びることで変色・退色したり劣化したりする製品には、紫外線を照射する環境試験が行われます。また、雨水を模して断続的に水を噴射する試験もあります。

塩水噴霧試験

塩分を含む海水は、金属を錆びさせたり腐食させたりします。船舶関連製品、自動車、建材などに海水を模した塩化ナトリウム溶液を噴霧する試験を、塩水噴霧試験といいます。

機械的試験

振動や衝撃、落下などの機械的ストレスを再現して耐久性などを試験します。税品を実際に使用した場合を想定し、繰り返しの振動や、圧縮・引張、ねじりなど様々な機械的ストレスを加えます。温度条件や湿度条件を組み合わせて試験が行われることもあります。

このほかにも、製品や素材に合わせて様々な環境条件を再現します。また、再現したい環境条件や、試験したい製品の大きさによって環境試験室のサイズは異なります。建物の一室に設置できる実験室・測定室程度の設備から、自動車や大型の重機をまるごと試験するための大型設備まで、ニーズに合わせて設備のサイズや試験したい環境条件をカスタマイズするのが一般的です。

環境試験室は品質保証やリスク管理に役立つ

製品の品質を保証するためには、研究開発段階における高性能な試験や厳しい環境試験が欠かせません。また、環境試験を通して初期不良や特定環境下での不具合をあらかじめ発見することができれば、製品のリコールや企業に対する信頼性の低下といった事態を避けることにつながります。品質保証やリスク管理といった視点からも、環境試験室のニーズは高まっているといえます。
環境試験室をご検討の際には是非、弊社へお問い合わせください。