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クリーンブースとは?クリーンルームと何が違う?

清浄な空間で製造・作業するために、温度や湿度、室圧など様々な環境条件をコントロールして微粒子や細菌などの混入を防ぐための設備をクリーンルームといいます。一方、クリーンルームと同様に清浄度の高い空間の確保を目的としながら、より簡易的かつ局所的な設備が「クリーンブース」です。クリーンルームとクリーンブースの違いについて解説します。

クリーンブースとは?

クリーンブースはもともと、クリーンルーム内に設置して局所的に清浄度クラスを高めるために用いられていました。現在では、一般的な室内の一角に設置して局所的に清浄度の高い空間を確保する簡易的な設備としても広く活用されています。清浄度のみをコントロールするクリーンルームの簡易版といってもよいでしょう。
一般的なクリーンブースでは、アルミフレームや塩ビ製シートなどの資材を用いて空間を間仕切り、高性能フィルターやFFUなどを設置して塵やほこり、汚染物質などを除去します。目的や予算に応じて、用いる資材やクリーン化機器の組み合わせをカスタマイズできます。

クリーンブースの特徴

クリーンブースには以下のような特徴があります。

1.低コスト

クリーンルームと比べ、簡易的な設備であるクリーンブースは低コストで導入できます。設備費はもちろん、清浄度を保つために必要な電力量も少なくて済むため、省エネ性にも優れているといえます。

2.設置場所が制限されにくい

局所的かつ簡易的な設備であるクリーンブースは小さなスペースにも設置でき、クリーンルームと比べて設置場所が制限されにくいのが特徴です。

3.ニーズに合わせてカスタマイズしやすい

耐蝕性に優れた金属板や、除電を目的としたプラスチック板、抗菌や防虫などを目的としたビニール製のカーテンなど、間仕切りに使用する資材は目的に応じて選定されます。設備のサイズや機能面もカスタマイズしやすく、柔軟に導入できます。

4.移設・増設・レイアウト変更がしやすい

クリーンルームは設備自体が大型な場合が多く、一度施工した後に移設されることはほとんどありません。一方、クリーンブースは簡易的な設備であり、移設や増設、レイアウト変更などにも対応しやすいのが特徴です。間仕切りの柱脚部にキャスターなどを取り付けて、移動式のクリーンブースとして設計することも可能です。

5.気流の方式は非一方向流方式(乱流方式)

クリーンブースでは、基本的に非一方向流方式(乱流方式)によって空間内の清浄度をコントロールしています。
参考:「クリーンルームとは?」クリーンルームの方式による分類

クリーンブースの種類

クリーンブースには、資材や形状、用途によって様々な種類があります。

形状による種類

  • カーテン型
  • パネル型
  • 吊り天井型
  • トンネル型 など

間仕切りに用いる資材による種類

  • ビニールシート
  • パネル(アルミサンドイッチ板、樹脂板など)
  • 断熱パネル など

用途による種類

  • 暗室ブース(光学実験や検査など)
  • 遮蔽ブース(資材保管など)
  • 局所排気用 など

クリーンブースとクリーンルームの違い

クリーンブースとクリーンルームの一般的な違いを表にまとめました。導入にあたっては、それぞれの特徴や制限を考慮しながら検討する必要があります。

項目クリーンルームクリーンブース
清浄度クラスクラス100,000〜クラス1クラス100,000〜クラス1000
設置コスト高い低い
運用コスト高い低い
設置スペース大きい小さい(数メートル四方から可)
施工期間長い短い(最短1日)
温度・湿度の管理基本的には不可
異物の混入混入しにくい混入しやすい

1.清浄度クラス

クリーンルームの清浄度は、クラス100,000〜クラス1に分けられており、最も清浄度が高いのがクラス1です。簡易的な設備であるクリーンブースは、クラス100,000〜クラス1,000に対応しており、クリーンルームと比べると対応可能な清浄度クラスは制限がある事が多いです。
参考:「清浄度の目安とは?」クリーンルームの清浄度クラス

2.設置コスト

クリーンルームは空間全体の清浄度をコントロールするため、設備自体のサイズが大きく、設置にかかるコストは高額になる傾向があります。クリーンブースはクリーンルームと比べて設備もコンパクトであり、機能も限定されているため比較的低いコストで設置できます。

3.運用コスト

クリーンルームは空間全体の清浄度を保つために高い電力量を必要とするため、運用にあたっては電気代が高くなる傾向にあります。管理・維持にも一定のコストがかかります。一方、クリーンブースは局所的なので、電力量は少なくて済み、運用コストは低くなります。メンテナンスにかかる費用や、移設や解体にかかる費用も抑えられます。

4.設置スペース

クリーンルームは広い設置スペースが必要ですが、クリーンブースは小さなスペースにも設置でき、設置場所の制限を受けにくいのが特徴です。クリーンルームの内部に設置する事で清浄度の高い空間を増設したり、必要なときに必要な場所に設置したりできます。

5.施工期間

クリーンルームは大規模な施工となるため、施行には数か月かかることも多いです。(サイズ方式や機能によって異なります)。クリーンブースは、柱脚部と間仕切りの資材を組み立ててクリーン用機器を設置するので、最短1日で施工可能な場合もあります。

6.温度・湿度の管理

クリーンルームには空調設備もあり、温度や湿度もコントロールできます。一方、クリーンブースは簡易的な設備であり、基本的に空調設備は含まれないため、温度や湿度はコントロールできません。作業者の暑熱対策が必要であり、熱に弱い素材・機器には向かないため注意が必要です。ただし、空調設備を付与することで、温度や湿度をコントロールできる場合もあります。

7.異物の混入

クリーンルームは異物(塵、ほこり、虫など)が混入しにくい構造ですが、クリーンブースは間仕切りの下部などから異物が混入しやすいため注意が必要です。

クリーンブース導入の注意点

クリーンブースを導入するにあたっては、様々な注意点があります。主な注意点を2つ紹介します。

空調設備がないこと

基本的に、クリーンブースには空調設備が付属していません。空調コントロールができるクリーンルームの内部に追加でクリーンブースを設置する場合はほぼ問題ありませんが、一般的な室内などに設置する場合は注意が必要です。具体的には、気温が2℃〜3℃上昇すると言われています。作業者自身の体温はもちろん、機器が排熱する場合はブース内の温度が高くなりやすいです。

異物の混入

クリーンルームと比べてクリーンブースは室圧が低く、間仕切りの下部は密閉されていないため、塵やほこり、虫などの異物が混入しやすくなっています。クリーンブースを設置する部屋を定期的に清掃するなどの対策が必要です。

また、クリーンルームと同様に作業者がクリーンウェアを着用する、入室前にエアーシャワーを使用する、マニュアルに従って清掃や機器の洗浄を行うなど、異物を混入させない運用方法を整備することも大切です。

クリーンブースやクリーンルームの導入はプロに相談しよう

クリーンブースは、簡易的な設備でコストを抑えながら清浄度の高い作業空間を確保できる手段です。ただし、清浄度クラスを高くしたり、エアコンを導入したりすることで想定よりコストが高くなってしまう可能性もあります。クリーンブースまたはクリーンルームの導入にあたっては、目的や用途、求める清浄度クラスや予算に合わせて慎重に検討してください。クリーンブースやクリーンルームの導入で悩んだときは、お気軽に当社へご相談ください。